Devetashka

外界から家族を守る堅固なからに覆われることによる安堵感。その中でいかに充実した時を過ごし、豊かな経験が生まれるか、そこに現代の都市型住宅の解があるだろう。

視覚だけに捉われることなく人の持つ五感を活かす仕掛けを施し、その5つのレイヤーの錯覚により豊かな経験を誘発し、記憶の積層、そこに家族の歴史を誕生させる試みである。

東京のまだ緑が色濃く残る武蔵野エリア。この閑静な住宅街の一角に敷地は位置する。周囲は住宅が建ち並ぶ、50坪ほどの敷地に二世帯住宅の計画。

前面道路からのファサード面は開口の少ない大きな壁、そこに設けられた扉をくぐると内包された緑豊かな庭が広がる。春夏秋冬、日の出から日の入りまで、さまざまな光と影がこの庭で演出され、自然と人に時の流れや季節の移ろいを意識させる。

家族が多く時間を過ごす場所は庭に面し、趣向を凝らした個性豊かな各部屋から屋外空間を楽しむことができる。庭が織りなす時の流れを楽しみ、家族の笑い声が木霊する。人と触れ合い、匂いに誘われ料理を楽しむ。季節によっては庭の花が室内に甘い香りをもたらすこともあるだろう。

五感を刺激しながら家族の歴史が少しずつ刻まれゆく・・・時の経過とともに家族と成長し、より豊かな魅力ある空間となるよう試みた住宅である。

 

構造:馬場構造設計

施工:ユーエスイー

写真:木田勝久/FOTOTECA

 

2016/tokyo